無風を待つ人の記録

風に流され生きてきた 風が止んでも生きていたい

Chris Berens "Leeuwenhart" @ Roq La Rue Gallery


Chris Berens の新作展を観にRoq La Rue Galleryへ。
画像の引用はRoq La Rueの特設サイトより。


展示開始からだいぶ日が経っているのもあり、特設サイトにあった作品の一部はたぶんすでに買い手に引き取られた模様。すでにギャラリーの2/3は別の展示(Femke Hiemstra & Ryan Heshka)に使用されていたし、まだ展示されていた分も9割方は売約済。



実物を前にしても、デジタルフォトを加工して制作しているようにしか見えないんだけど、あくまで全て手で描いているというから本当に驚いた。というか、そう知っていてもまだデジタル作品のように見える。帰ってから調べてみると、Wikipediaの彼の項目にもよくそういう誤解をされると書かれている。

実際は、インク等で手描きしたフォトペーパーを何枚も継ぎ接ぎのように重ね合わせる手法。キャンバスを直接使わないことに独自のこだわりがあるらしい。フォトペーパーの継ぎ目と、もやっとした絵柄のせいで、ブロックノイズを起こしたデジタル画像のように見えることも影響しているのかもしれない。



彼の多くの作品では、焦点の位置を非常に曖昧にされている。ぼんやりした中で一部だけくっきり描き込まれたりして、画素ごとにフォーカスが狂ったような状態に距離感を撹乱され、対象物の実体感もまた心許なくなってくる。一方で対象物の中には、そのピントのボカし方も含めて異様にフォトリアルなものが紛れ込んでいるので、何とも奇妙な味わい。


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