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無風を待つ人の記録

風に流され生きてきた 風が止んでも生きていたい

肉声と聞き紛うほどのテルミンの「唄声」、"Clara Rockmore's Lost Theremin Album"

Lost Theremin Album

Lost Theremin Album


先日図書館で借りたCDがすごく良かったのでメモ。


クララ・ロックモア (1911-1998) は、テルミンの世界的なヴァーチュオーソ。映画「テルミン」にも登場したのでご存知の方も多いかもしれないが、演奏はあまり音源化されていないそうで、CDでは上含め2枚しか確認できない。レフ・テルミン博士とはロシアからの移民仲間の関係。


Theremin - Clara Rockmore play "The Swan" (Saint-Sa〓ns)*1


初めて聴いたとき、「あれ、誰か歌ってるの?」って一瞬素で思った。テルミンってこんなにおそろしいほど肉声のような音が出せる楽器だったのか。大昔のレコードやラジオから流れてくるアリア歌手の歌声のような色褪せた音色。単なるサイン波合成機にここまで歌心を宿らせる演奏者の力量の凄まじさ。テルミンってボーカロイドの先駆的なところもあったんだろうか?検索してみたら、テルミン初音ミク楽曲をカバーしたり、初音ミクテルミンの音色を再現したりという試みを実際にやっている方々もいるようだ。
世界初の電子楽器であるだけでなく、世界で初めて「声楽」と「器楽」の境界を明確に抜け出そうとした楽器なのかもしれない。*2


このアルバムは2006年に本CDで初音源化した小曲集だが、録音は70年代のもの。
クララの実姉ナディア・ライゼンバーグがピアノ伴奏で参加しており、ブックレットには、この姉妹にMOOGの生みの親ことロバート・モーグという豪華ゲストを加えた鼎談が掲載されている。クララが初期モデルの表現力上の不満をテルミン博士にフィードバックし、改善を繰り返していった話だとか、クララの50年物のテルミンが壊れたのをモーグ博士が週末に直しに行った話だとかがされている。

*1:この曲自体はCDには入っていません

*2:とはいっても、昔から声楽の代わりとして楽器を利用するという発想自体はあっただろうけど。