無風を待つ人の記録

風に流され生きてきた 風が止んでも生きていたい

Tiger Tiger Burning Bright Group Show @ Roq La Rue Gallery


"Tiger Tiger Burning Bright" Group Show @ Roq La Rue Gallery


出展作家の名前に惹かれ行ってきました。
実質的な初日だと思うのだけど、自分が入ったときには見学客は二人くらい。


アルフレッド・ベスターの「虎よ!虎よ!」が下敷きにしたことでもおなじみの
ウィリアム・ブレイクの詩がフィーチャーされた本展、
今年は寅年だからというのがそもそものきっかけのよう。
「虎」をお題として制作してもらった作品が揃っている。



"The Tiger"
~ William Blake (1757 - 1827)


TIGER, tiger, burning bright
In the forests of the night,
What immortal hand or eye
Could frame thy fearful symmetry?


In what distant deeps or skies
Burnt the fire of thine eyes?
On what wings dare he aspire?
What the hand dare seize the fire?


And what shoulder and what art
Could twist the sinews of thy heart?
And when thy heart began to beat,
What dread hand and what dread feet?


What the hammer? what the chain?
In what furnace was thy brain?
What the anvil? What dread grasp
Dare its deadly terrors clasp?


When the stars threw down their spears,
And water'd heaven with their tears,
Did He smile His work to see?
Did He who made the lamb make thee?


Tiger, tiger, burning bright
In the forests of the night,
What immortal hand or eye
Dare frame thy fearful symmetry?

訳詩はこちらに。


出品作品はこちらで一通りプレビュー可能。

お目当ては Audrey KawasakiYumiko KayukawaRobert Hardgrave あたり。


虎に対して真っ先に抱かれるイメージを要約すると、おそらく詩中にある
"thy fearful symmetry"というワンフレーズに集約される気がするのだけど、
今回の出展作は、比較的そのイメージに素直に従って描いているのが大半で
その点ではあまり驚きを伴う面白い解釈には出会えなかった。
(もちろんこのことが作品そのもののクオリティを減ずるものではない、念のため)
そんな中で Yumiko Kayukawa が「月の兎」のモチーフと組み合わせた(上イメージ)のはちょっと新鮮。
「そう簡単にそっちベクトルには行かせないぜ!」という態度を一番感じた。(本人の意図は知りませんが・・・)


Audrey Kawasaki の作品はご本人のブログ記事で閲覧可能。
虎というモチーフをそのまま使うのは氏の画風と合いにくいんでないか、という勝手な危惧は個人的にあるが
(実際そこらへんに工夫の余地がある気がしないでもないけれど)しかしこの流し目の殺傷力は虎以上である。


Robert Hardgrave の作品も好き。
どこにどういう計算がされてるのかはよく判らないけど、
いつも徹底的に対象を解体しながらも、その実体感を失わない境界を、
今回の作品だと虎が虎でいられるぎりぎりのラインを追求しているような印象を受ける。


他には Jim Blanchard の緻密な点描作品などお気に入り。


物販にあった"FURTHER"という本が、昔取り上げたことのあるOliver VernonMars-1を始めとして
好きな作家さんの作品を大量に掲載していたので欲しかったのだけど、
値段がどこにも書いておらず、一抹の不安を覚えて今回は諦め。
帰って上のリンク先で値段を調べたら$40。
一応ほぼ予想どおりではあったのだけど、合ってたからといって即よっしゃ買おうとなるわけではなく、正直一番悩む価格帯。


本展とは別に、Edwin Ushiro や Mark Ryden の作品も展示してあって、思いがけずちょっと嬉しかった。
ここのギャラリーでは9月に Edwin Ushiro 展をやるというので、そちらも観たいなー。
そのときにまだ滞在してればだけど。


帰りに、時間があったのでSAMにも寄った。
アンディ・ウォーホル展、カート・コバーン展、ジェームズ・アンソール展などなど色々てんこ盛りでまとめて$15。
安いんだけど、ボリューム的にしんどくて完全に疲れてしまった。消化不良。